故人のSNSはどうなる?乗っ取りと対策を徹底解説

近年、故人のSNSアカウントをどう扱うかが身近な問題になっています。
思い出を守るために遺しておいた故人のアカウントが、乗っ取りや詐欺の温床になりかねません。
ここでは、なぜ放置が危険なのか、実際に起きた被害例、犯行手口、そして自分の死後を考えた「SNSアカウント乗っ取り対策」を分かりやすくまとめます。
目次
1. 故人のSNSを放置することが危険な理由
故人のSNSが長期間放置されると、ログイン情報の古さや外部連携の放置で、長期に使用されていない事を犯罪者に知られ、悪用されやすくなります。
故人になりすました投稿や友人への詐欺、写真やメッセージの不正利用は、遺族に大きな負担と精神的苦痛をもたらします。
2. 具体的な被害事例

事例A:友人への詐欺メッセージ送信
故人のアカウントが乗っ取られ、フォロワーに「困っている。助けてほしい」といったメッセージが送られました。
遺族が知った時には、すでに数名のフォロワーが金銭を送ってしまったため、遺族が被害者への対応に追われることになりました。
事例B:アカウント情報の売買と二次利用
乗っ取られたアカウントが闇市場で売買されてしまいました。
その後スパムメールやなりすましメールの発信元として利用されました。
また、故人のSNSから元の投稿や思い出が消えてしまいました。
事例C:追悼ページでの偽情報拡散
故人に関係する団体や追悼ページが乗っ取られ、怪しい告知や不適切な投稿が繰り返され、関係者に混乱と迷惑が広がってしまいました。
これらから分かるのは、放置された故人のSNSは本人だけでなく、家族や友人、関係する組織・団体にも被害が及ぶという点です。
3. 犯行手口
故人のSNSが狙われる際、攻撃者は「長期間放置」「運営への届出遅れ」「漏洩したパスワード」を見つけ出して利用します。
以下は実際に多く見られるパターンを整理したものです。
- 流出情報でログインする
過去にインターネット上に流出したIDやパスワードを使って、第三者が長期間放置された故人のアカウントにログインする手法です。故人が同じパスワードを複数のサービスで使いまわしをしていた場合に多く見られます。 - 「パスワード再設定」でSNSを乗っ取る
故人のメールアドレスを入手した攻撃者が、メール経由で「パスワード再設定」を行い、SNSへ侵入して設定内容を変更します。そうなると、攻撃者以外はアカウントへログインできなくなり、家族には対処できないこともあります。 - スマホから直接SNSにアクセスする
悪意を持った身近な人が故人のスマホを使って、直接SNSにアクセスして、パスワード等の設定内容を変更してしまうケースです。
4. 自分の死後を考えた対策を準備する
ここからは「自分がいなくなった後に遺族が被害に遭わないようにするための具体策」を、実践的に示します。
A. 生前の準備(デジタル終活)

- パスワードの整理
アカウントとパスワードの整理をしておくことで、遺族が速やかにSNSのアカウントを削除できるようになります。
不要なアカウントの整理は、乗っ取りの被害を防ぐことにもなります。 - SNS処理方法の連絡
家族であっても故人の生きた証ともいえるSNSを削除するにはためらいがあります。
あらかじめ「残す・削除する」の意思表示を伝えておけば、家族は迷いなく処理をすることができます。 - スマホのパスワード使用
パスワードがなくてもスマホにアクセスできる場合は危険です。
身近に悪意のある人がいた場合、SNSの設定を変えられる危険性もあります。
スマホにパスワードをかけるだけで、その危険は防げます。
ただし、信頼できる人にはパスワードを教えておかないと、死後、だれもスマホにアクセスできなくなるというトラブルに見舞われる可能性があります。
B. 事後の初動(遺族がやるべきこと)
- SNS運営へ連絡
各SNSの故人アカウント対応窓口へ連絡をして、削除や追悼設定を申請します。 - 証拠の保存
故人のSNSに不審な投稿やDMを発見したら、スクリーンショット・URLとともに記録しておきます。 - 金銭的被害は警察・消費生活センターへ
2.で記録した画像とともに、消費者センターへ連絡をしましょう。
詐欺被害にあったり、故人のページから被害にあったと聞いた場合は、すぐに警察へ相談しましょう。 - 関係者への周知
故人の友人・知人には改めて死亡したことを連絡し、偽アカウントの拡散を防ぎます。

C. 連絡の方法とタイミングを考える
パスワードを伝えるには、紙に書く、USBやクラウドに保存すると、いろいろ方法はありますが、いづれにしても、相手はそれを知った時点で、あなたのアカウントにアクセスできるようになります。
SNSを家族と共有している人はよいでしょうが、個人的嗜好と考え、家族に教えていない場合、それを知られることになります。
そう考えると、伝えるタイミングは重要になりますが「今は教えたくないが、いづれは教えなくてはいけない」と考えると、なかなか難しい問題かもしれません。
タイミング問題の解決方法のひとつとしては、終活アプリを使って、死後に届けるという方法もあります。
まとめ
故人のSNSは「放置=危険」です。
生前のうちにSNSのアカウント整理、パスワードや死後のSNSの扱いを伝えておくことで、遺族の負担とリスクを大きく減らせます。
いつ、伝えるかというタイミングの問題はありますが、終活アプリを利用するなどの方法で、遺族が確実にアクセスでき、処理をしてもらうことができます。
死後、SNSを閉鎖するか、追悼アカウントとするかはあなた次第ですが、放置により遺族に負担をかけることだけは避けたいところです。
SNSのアカウントを持っている方は、一度考えてみてはいかがでしょうか。


