【ネットバンク】死後の“デジタル遺産” 相続

ネットバンクを利用している人が亡くなった場合、その口座や資産はどのように扱われるのでしょうか。

ネットバンクを利用している人が亡くなった場合、その口座や資産はどのように扱われるのでしょうか。

この記事では、ネットバンクの死後手続きや相続の流れ、生前にできる対策をわかりやすく解説します。

スマホひとつでお金を管理できる時代だからこそ、亡くなった後に家族が困らないための準備を始めましょう。


■ ネットバンクの“デジタル遺産”とは?

「デジタル遺産」とは、故人がオンライン上に残した資産・データの総称です。

ネットバンク口座、証券口座、暗号資産、サブスクリプション契約などが含まれます。

特にネットバンクは、通帳がないために家族が口座の存在に気づかないまま放置されることが多く、相続の現場では年々重要性が増しています。

銀行に連絡しない限り口座は自動で解約されず、残高もそのまま残ります。


■ ネットバンクが注目される理由と課題

ネットバンクは、実店舗を持たずにスマホやパソコンで利用する金融機関です。

利用者が増える一方で、死後に家族がログインできない・口座がわからないといった問題が発生しています。

紙の通帳がないため、家族が存在を把握できず、遺産が宙に浮いたままになるケースも少なくありません。

ネットバンクは紙の通帳がないため、家族が存在を把握できず、遺産が宙に浮いたままになるケースも少なくありません。

■ 死亡後のネットバンク口座はどうなる?

口座名義人が亡くなったことを銀行が確認すると、口座は即時凍結されます。

これは不正な引き出しを防ぐための措置です。

凍結後は、相続人が必要書類を提出して相続手続きを行うまでは出金できません。

ネットバンクでは、基本的に次のような流れになります:

  1. 死亡の連絡
    相続人がネットバンクの問い合わせ窓口に連絡します(メールやチャットでは不可の場合が多い)。
  2. 必要書類の提出
    死亡診断書、戸籍謄本、相続人全員の署名・印鑑証明などを提出します。
  3. 相続資産の確認・払い戻し
    ネットバンク側の審査後、資産が相続人の口座に振り込まれます。

ネットバンクは実店舗がないため、すべて郵送またはオンラインでの対応になります。

郵送先住所を誤ると手続きが長引くため、事前確認が重要です。

口座名義人が亡くなったことを銀行が確認すると、口座は即時凍結され、相続手続きを行うまでは出金できません。


■ 相続手続きに必要な書類と注意点

一般的に必要な書類は次の通りです。

  • 被相続人の死亡証明書(または除籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(全員の署名・捺印が必要)
    ㊟協議分割をする場合のみ
  • 相続人の本人確認書類(運転免許証など)
  • 印鑑証明書

また、ネットバンクの場合、口座番号や登録メールアドレスがわからないと照会自体が難しいことがあります。

そのため、生前に「ネットバンク名・口座の種類・最後に利用した時期」などをメモとして残しておくと安心です。


■ 生前にできる“ネットバンク死後対策”

  1. エンディングノートの活用
    利用中のネットバンク名・ログインID・登録メールアドレスを記録しておきましょう。
    パスワードそのものは書かず、「保管場所」や「ヒント」を残すのが安全です。
  2. 家族への口頭共有または信頼できるアプリ管理
    紙に残すことに不安がある場合は、暗号化管理が可能なアプリを利用する方法もあります。
    死後に遺族へ大切な情報を連絡するアプリやサービスを使うのも効果的です。
    死後に大事をわたせるアプリ
  3. 遺言書や専門家との相談
    相続内容を明確にするために、行政書士・税理士・弁護士に相談し、資産の所在を整理しておくとスムーズです。
遺言書や専門家との相談相続内容を明確にするために、行政書士や税理士に相談し、資産の所在を整理しておくとスムーズです。

■ チェックリスト:今からできる3つの準備

  • 利用中のネットバンク名と口座情報を一覧にまとめる
  • 家族に「どのネットバンクを使っているか」を共有しておく
  • 死後通知アプリなどの導入を検討する

■ まとめ|“ネットバンク死後問題”に備える最初の一歩を

ネットバンクは便利な一方で、死後の手続きが見えにくい資産でもあります。

通帳がない時代だからこそ、家族が迷わないよう、今のうちに記録と連絡体制を整えておくことが大切です。

エンディングノート、遺言書、そして信頼できるデジタル終活サービス等を活用し、「家族が困らない仕組み」を備えておきましょう。

エンディングノート、遺言書、そして信頼できるデジタル終活サービス等を活用し、「家族が困らない仕組み」を備えておきましょう

監修:山本円佳さん(ファイナンシャルプランナー)