iPhoneは死亡後にロック解除できる?家族が困らないための準備と対策

iPhoneは、世界でもトップクラスのセキュリティを誇るスマートフォンです。
指紋認証や顔認証、パスコードによるログイン方法が備わっており、多くの人が安心して日常生活やビジネスに利用しています。
さらに、iOSのアップデートごとにセキュリティは強化され、個人情報の流出や不正アクセスを防ぐ仕組みも進化し続けています。
しかし、この「強固さ」が裏目に出るケースもあります。
持ち主が突然亡くなり、パスコードが分からない場合、残された家族はiPhoneを開けず、必要な情報にアクセスできなくなってしまうのです。
では実際に、持ち主死亡後にiPhoneのロック解除は可能なのでしょうか?
目次
1. 独自のセキュリティを誇るiPhone

iPhoneの大きな特徴は、Apple独自のセキュリティ設計にあります。
他のスマートフォンはメーカーやキャリアによって仕様が異なりますが、iPhoneは世界共通の厳しい基準で統一されています。
データそのものが暗号化されているため、パスコードなしでは解読不可能な仕組みになっているのです。
また、Appleアカウント(Apple ID)でiPhone内のデータが管理されています。
機種変更時に簡単にデータ移行ができるのもそのおかげです。
一方で、購入アプリやサブスク情報なども紐づいているため、AppleはAppleアカウントのセキュリティを非常に重視しています。
そのため本人であっても、iPhoneのパスコードが不明で、Appleアカウントとパスワードもわからなければ、Appleは対応してくれません。
この厳格な管理こそが、iPhoneの唯一無二のセキュリティ強度を支えているのです。
2. デジタル遺産に対するAppleの取り組み

強力なパスコードで守られているが故に、持ち主が死亡すると家族がiPhoneにアクセスできないというトラブルが多発しました。
そこでAppleが提供したのが「デジタル遺産プログラム」です。
これは、死後に一部の情報を家族や友人と共有できる仕組みです。
事前に共有者を登録しておくことで、死後にその人がiPhoneの情報へアクセスできるようになります。
ただし、共有者がApple製品を使っていない場合は、割り振られたアカウントを共有者自身で管理しなければなりません。
長い年月の間にアカウント情報を紛失したり、必要な時に思い出せなければ「デジタル遺産プログラム」は機能しません。
3. 「デジタル遺産プログラム」を準備していないと…
もし事前に「デジタル遺産プログラム」を設定していなければ、家族であっても通常はiPhoneにアクセスできません。
最終手段としてパスワード解析業者に依頼する方法がありますが、解析できるかどうかは状況によります。
実際、国内のある解析業者も「iPhoneはバージョンアップのたびに解析が困難になっている」と語っています。
さらに業者へ依頼した場合、解析の成否に関わらず作業時間分の費用(数万~数十万円)が発生します。

4. 確実に死後のロック解除ができるのは「準備」だけ
持ち主が亡くなった後に解析を依頼しても、成功が保証されるわけではありません。
最悪の場合、高額な費用だけを支払ったのに解析できなかった、ということもあり得ます。
確実にiPhoneの情報を死後に共有したいなら、『デジタル遺産プログラム』で事前に登録しておくのが最も安全です。
ただし、この機能で共有できるのはiCloudに保存された以下のデータに限られます。
- 写真や動画
- ドキュメントファイル
- 連絡先
- カレンダーやメモ
一方、キーチェーン(パスワードを保存する仕組み)は対象外です。
そのため、生前に利用していた銀行やクレジットカード、会員サイトなどへのログイン情報は引き継げません。
iPhoneのすべての機能を共有したい場合は、結局のところパスコードを家族に伝えておくしかないのです。

5. iPhoneのすべては共有したくない
「ネット銀行や会員サイトのログイン情報は残したいが、LINEのプライベートな履歴は見られたくない」
「生前から共有すると、揉めたときに勝手に見られてしまうのが心配」
このようにプライベートを守りたいという場合は、死後に大事な情報を家族にわたしてくれる終活アプリを利用するのもひとつです。
スマホをロックしたまま残せば、大事な情報だけが家族に遺せ、共有したくない情報は見られずにすみます。
まとめ

iPhoneはセキュリティが非常に強力で、持ち主が死亡した場合、パスコードがわからなければ通常はロック解除が不可能です。
解析業者に依頼してもロック解除が確実ではなく、高額な費用と失敗のリスクが伴います。
だからこそ、生前からパスコードやAppleアカウントをどう家族に伝えるかを考えておくことが重要です。
iPhoneに保存されたプライベート情報と共有リスクのバランスを考え、自分に合った方法でiPhone の持ち主死亡によるデジタル遺品問題への備えをしておきましょう。
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