[50代女性の終活] 第二の人生を踏まえた計画を

女性は50代になると、更年期に加え、子どもの独立、親の介護、働き方の変化など、生活環境が大きく変わります。
そのため、家族や自分の将来について具体的に考え始める人も少なくありません。
「終活」と聞くと60代以降をイメージする方も多いですが、人の死は年齢で決まるものではありません。
終活を始めるのに決まった年齢はなく、年代ごとに環境や考え方が変わるため、その時期に合った終活が必要です。
この記事では、子どもが巣立った50代女性にとって、どのような終活が適しているかをわかりやすく解説します。
1. 50代女性 子どもが巣立った後
50代になると、多くの人は子どもが大学を卒業し、社会人として独り立ちします。
子どもの成長は喜ばしいことですが、一方で生活にぽっかりと穴があいたように感じる人もいます。
これは「空の巣症候群」と呼ばれる状態です。

症状が重いと気力を失い、体調を崩す人もいますが、多くの場合、時間の経過とともに少しずつ立ち直っていきます。
その過程で趣味や推し活に打ち込んだり、これまでとは違った形で子どもをサポートしたりする人もいます。
例えば、少し高額な電化製品やスーツを買ってあげたり、職場での悩みにアドバイスをしたり、愚痴を聞いてあげたりと、方法はさまざまです。
いずれにしても、子どもにとってはありがたいサポートであり、母親自身も「役に立てている」という満足感を得られます。
2. 第二の人生を考える50代
正社員で働いている人は、一般的に65歳で定年を迎えます。
しかし、多くの場合、年金だけで生活するのは難しいのが現実です。
アルバイトの求人は数多くありますが、募集の中心は40代まで。
60歳を超えると選べる職種や募集枠が限られてしまいます。
さらに、本人の体力や気力も落ちていくため、できる仕事が限られてきます。

そのため50代は、やがて訪れる収入の変化を見据え、限られた収入の中で幸せな老後を過ごせるよう準備を始める大切な時期です。
また、50代は親の介護の問題が現実的になってくる時期でもあります。
親に十分な蓄えがあればよいのですが、そうでなければ介護保険で賄えない費用のうち、公的サポートでも及ばない部分を自分たちが負担する必要が出てくる可能性もあります。
親の介護費用や現在の生活費、さらに子どもへのサポートを加えると、家計に余裕がなくなる家庭も少なくありません。
3. 50代女性の終活とは
終活の内容は多岐にわたりますが、代表的なものは次のとおりです。
- 財産や預貯金、保険の整理
- 遺言書やエンディングノートの作成
- デジタル遺品(パスワード、SNSなど)の整理
- 葬儀やお墓に関する希望の共有
- 医療・介護に関する意思表示(延命治療の希望など)
- 身辺整理と不要品の処分(生前整理)
- 大切な人へのメッセージや記録を残す
この中で50代女性が特に意識したいのは「1.財産や預貯金、保険の整理」です。
親の介護や自身の体調不良による医療費・薬代が、これまで以上に家計を圧迫する可能性があります。
そのため、生活費全般や保険料を見直すことが重要です。

生命保険の受取額は多ければよいと思われがちですが、実際には相続が原因で家族関係が悪化するケースもあります。
現在と老後の生活費を考えたうえで、子どもの生活の助けになる程度の保険を選ぶのが現実的です。
4. 保険の見直しで注意したいこと
以前の保険は証券が発行されていたため、家族が内容を知らなくても、証券を見つければ請求ができました。
しかし現在は、アプリや会員サイトで確認する「ペーパーレス化」が進んでいます。
もし死後にスマホがロックされたままだと、家族がアクセスできず、生命保険の存在すら知られないまま請求されないリスクもあります。
せっかく支払ってきた保険料を無駄にしないためにも、生前に家族へ保険の存在や請求方法を伝えておくことが大切です。
それでも、伝えたことを覚えていてくれているかが不安な人は、死後に連絡して大事をわたしてくれるアプリを利用するのもひとつです。

まとめ
50代女性が取り組むべき終活は、人生の転換期に合わせた計画と準備です。
現在の支出と今後予想される出費を整理し、貯金や保険を見直していくことが必要になります。
子どもへの愛情をこれからも「サポート」という形で続けたい方は、早めに終活に取り組むことをおすすめします。

監修: 山本円佳さん(ファイナンシャルプランナー)


